醤油と言えばまさに日本の調味料の代名詞のようなものだと思います。
ところが現代では多くの醤油が大量生産とコスト削減のため本来の伝統製法は捨て去られた極めて大量消費型の作られ方をしていることはあまり知られていません。安く販売されるということは消費者からすれば常に歓迎されることなのですが、それとは引き換えに醤油本来のおいしさや安全性はほぼ失われていると言ってもよいと思います。
伝統的な醤油の作り方
原料は、大豆、小麦、塩だけ。杉材でできた桶の中で1年から3年の間の長期にわたり発酵と熟成させます。すべて自然の気温変化により、杉桶の中に住み着く無数の微生物の力にゆだねた製法です。
杉桶で作るような伝統的な製法で作られる醤油は全生産量の1%未満になっているのが現状のようです。
水より安い醤油のカラクリ
一方で大量生産の工場内で作られる醤油には1週間以内でできてしまう醤油もあります。これは本来微生物によって長い月日をかけて自然に発行と熟成を繰り返す工程を、化学反応や調合によって短期間で風味を整えられることで完成される醤油です。もちろん伝統的な醤油本来の味や風味や香りは出ませんが、敢えて言えば人間の感覚を十分にごまかして、しょうゆであると納得させるるだけの製品に仕上げることができるわけです。
そして中には市販されている水よりも安い醤油すらあるほどです。
水よりも安い醤油
原料・・・大豆から油を搾り取った後の脱脂加工大豆が使われます。丸大豆に比べて価格が安く、うまみ成分を出しやすい特徴があります。
製造方法・・・大豆を塩酸で分解して作ったアミノ酸液などを短時間で作り、それに本醸造の醤油をブレンドします。発酵と熟成に数か月以上かかる伝統的な本醸造とは違い極めて短期間で製造が可能です。
添加物の利用・・・短期間で作るため、不足する自然なうま味や風味は、アミノ酸などの化学調味料で補い、カラメル色素で色付けをし、長期間の保存を可能にするために保存料を加えることで品質を安定させます。
以上のような製法で、安いコストで短期間に製品になります。醤油と言えば基本は丸大豆が使われるはずですが、一番安い醤油では丸大豆ではなく、脱脂加工大豆が使われています。そこに、味を調えるため、アミノ酸や人工甘味料が使われ、色を整えるためにカラメル色素が使われるわけです。いわば工業製品としての醤油です。これは本来の1年以上かけ自然変化の中での温度で醸造熟成して完成させる伝統的な醤油と比べればまさに疑似醤油と言ってよいでしょう。
安全な醤油の見分け方
伝統的な醤油の原料は、大豆、小麦、塩だけです。これは最高においしい醤油になります。しかし、熟成発酵期間が1年以上かかります。場合によっては3年もかけていることもあります。この時間的コストともいうべきものが1番大きく販売価格に影響する要素だと思います。もちろんこのような伝統製法で作っている場合は、大豆や小麦や塩も国産の良質なものを使っているケースばかりなはずです。ですから、一番安全で美味しい醤油を使いたい帯のであれば、この製造方法の醤油を選ぶ以外にありません。しかし、問題は価格が高いということです。
そこで、価格はそこそこに抑えても安全で、それなりに美味しい醤油を使いたければ、大豆、小麦、塩に加えてアルコールをを原材料に加えてある醤油を選ぶのが良いと思います。
なぜアルコールが加えられているかと言うと、本来の製造過程を短縮していることによります。本来の伝統製法で1年以上かけて熟成発酵させれば自然の発行でアルコールも精製されます、このアルコールが醤油の保存させるために有効なのです。
ところが、熟成発酵期間を短縮してしまうと、本来精製されるアルコール分がなくて保存がきかない醤油になってしまいます。そのため、製品として保存がきくように、アルコールを加えてあるというわけです。いわば、アルコール添加は時間を買う技術と言えます。こうすることで、安全性は保たれながらも本来の伝統製法に近い醤油ができます。もちろん、熟成発酵期間が長ければさらにうま味や風味は増しますので本来の伝統製法の醤油に加えれば味の点では劣ります。しかし、料理の調味料として使うのであればこの醤油で十分においしいと思います。
ですから、究極の伝統製法の次に質の良い醤油を使うためには、本来の原材料の大豆、小麦、塩に加えてアルコールだけ加わっている製品を選ぶとよいでしょう。
さらに言えば、国内産の大豆や小麦や塩を使っているものを選びましょう。
醤油を上手に使い分ける
1年から3年かけて作られ伝統的製法で作られている醤油を使うときは、しょうゆ本来の味を楽しめる料理に使うことがおすすめだと思います。例えば私が真っ先に思い浮かぶのは、刺身です。新鮮な魚を醤油につけて食べるだけですから、美味しい醤油と絡めれば最高においしいはずです。あとは冷ややっこなども同じですね。シンプルに素材そのものの味を醤油だけ加えて食べるような日本料理にこそ、日本の伝統的な醤油は使うべきだと思います。もともと、時間コストをかけて作られている最高品質の醤油ですから、少量でも本来の味を楽しむ料理とともに使うのが一番賢い使い方だと思います。
一方でしょうゆ本来の味にそれほどこだわらない、いわば調味料としての醤油には、上記のような熟成期間をやや短縮して、アルコールを添加した醤油を使うことが安全面でもコスト面でも一番使いやすいのではないかと思います。
長期熟成と短期熟成の醤油の違い
| 特徴 | 長期熟成(伝統的・無添加) | 短期熟成+アルコール |
| うま味 | 深みがあり、口の中で広がる | 単純でシャープ(キレがある) |
| 香り | 複雑で芳醇(果実や花のような香り) | すっきり、またはアルコールの刺激 |
| 色 | 熟成で国深みのある色合い | 比較的明るめ |
| 保存性 | 開封後は要注意(冷蔵庫保存) | 高い(常温保存しやすい) |
上記表の、短期熟成+アルコール の醤油で私が愛用しているのは ”昔ながらの国産丸大豆 しょうゆ” という伊賀越株式会社が製造しているものです。天然醸造で300日かけて熟成していますのでお勧めです。Amazonや業務スーパーでも購入可能なところがあります。
まとめ
安全で美味しい醤油を使いたいのであれば下記の1,2の醤油を使い、3の醤油は避けるべきでしょう。
- 1.原材料が大豆、小麦、塩のみ
- 2.原材料が大豆、小麦、塩、に加えてアルコール
- 3.2の原材料以外にアミノ酸や甘味料や着色料などの添加物が含まれている
おそらく、ファストフード店やファミレスなどの多くの飲食店や加工食品や総菜などの料理で使用されているものは上記の3に該当する醤油なはずです。少しでも利益を上げたいわけですから、コスト面から言ってそれは当然理にかなっています。



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